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福岡高等裁判所 昭和53年(ネ)472号 判決 1979年2月26日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴会社代表者は、「原判決を取り消す。被控訴人と訴外後藤貞男との間で昭和五一年三月一三日原判決添付第一物件目録1ないし26記載の不動産を目的として締結された贈与契約を取り消す。被控訴人は、控訴人に対し、右目録1ないし26記載の不動産につき大分地方法務局玖珠出張所昭和五一年三月一三日受付第七五三号をもつてなされた所有権移転登記の抹消登記手続をせよ、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、当審で右目録27記載の不動産についての訴を取り下げ、請求の趣旨を減縮した。被控訴代理人は主文第一項同旨及び「訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、控訴人の右訴の一部取り下げに同意した。

当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、援用及び認否は、原判決の事実摘示(原判決二枚目―記録一九丁表四行目から原判決六枚目―記録二三丁―裏一二行目の「成立はいずれも認める。」まで)のうち原判決添付第一物件目録記載の1ないし26の不動産関係部分と同一であるからこれを引用する(但し、原判決二枚目―記録一九丁―裏八行目の「訴外貞男に対して」の次に「右各」を加える。原判決四枚目―記録二一丁―表二行目に「同第4項の事実は認める。」とあるのを「同第4項のうち贈与の年月日は否認し(原審における昭和五一年九月二〇日付被控訴人証拠申請書二立証事項参照)、その余の事実は認める。」と、同表五行目、一一行目に各「二七筆」とあるのを「二六筆」とそれぞれ改める。

(立証省略)

理由

第一  当裁判所は、控訴人の本件請求を失当として棄却すべきであるとするものであつて、その事実認定及びこれに伴う判断は、次のとおり改め、加え、削るほか原判決の理由説示(原判決七枚目―記録二四丁―表二行目から原判決九枚目―記録二六丁―裏九行目の「棄却し、」まで)と同一であるからこれを引用する。

1  原判決七枚目―記録二四丁―表四行目の「第4項の事実」の次に「中贈与の年月日を除くその余の事実」を加える。同表五行目から同裏七行目までの全部を削り、同裏八行目冒頭の「三」を「二」に改める。同裏九行目と一〇行目との間に「債務者の行為を詐害行為として民法四二四条を適用するには、その行為が取消権を行使する債権者の債権発生後になされたことが必要であるから、後藤貞男の被控訴人に対する本件贈与行為の日が控訴人の貞男に対する本件債権発生の日である昭和五〇年七月三〇日より後であるか否か検討する。」を加え、同裏一一行目の「贈与したのは」の次に「本件各土地につき所有権移転登記がなされた」を加える。

2  原判決八枚目―記録二五丁―表一行目に「乙第二ないし第三号証、」とあるのを「乙第二、第三号証、」と改める。

3 原判決九枚目―記録二六丁―表一〇行目の「贈与し」の次に「同月二五日その効力を生じ」を加え、同裏二行目の「登記は」から同裏九行目の「棄却し、」までの全部を次のように改める。

「控訴人の債権を詐害すべきものは、貞男の財産の減少を目的とする右贈与行為そのものであつて、登記は詐害行為である贈与を原因とする場合においても贈与行為の成立に関係がないから、右贈与行為が控訴人の債権発生前であるため詐害行為の要件を具備しないこと前認定のとおりである以上右贈与行為の取り消しを請求し得ないというべきである。

三 してみれば、その余の点につき判断するまでもなく控訴人の本件請求は失当として棄却すべきである。」

第二 よつて、右と同趣旨に出た原判決は相当であり本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条一項に従いこれを棄却すべく、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

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